難病で長期間入院しなければならない子ども達は、通っていた学校から院内学級に転校しなければなりません。
入院中、同級生達との関係が断たれてしまいます。
小児病棟には感染症予防のため15歳以下の子ども達は入れません。
きょうだいにも会えません。
病院の中で外の世界から長期間隔離された世界で生活する子ども達は、退院後、もとの生活にスムーズに戻ることができません。
長期間入院している子ども達にとって最も辛いことは、治療ではなく時間を持て余すことです。
私達は入院している子ども達に、ひとつでも多くの体験をしてもらうために。
自分がひとりではなく、多くの人達が応援してくれている存在であることを知ってもらうために。
入院している子ども達と外にいる子ども達をつなぐことができるスポーツを考えました。
そして、2018年7月、全国に15ヵ所ある小児がん拠点病院のひとつ。大阪市立総合医療センターでスタートしました。
ホスピタルフットボールの理想形は、入院している子ども達にフラッグフットボール(*)のオフェンスフォーメーションを作ってもらい、それを外の世界にいる子ども達、大人達に使ってプレイしてもらうことです。
(*)フラッグフットボール
アメリカンフットボールをベースにして生まれた誰もが安全に楽しめるスポーツです。
アメリカンフットボールは、選手それぞれの役割が高度に細分化されたスポーツです。
フィールドで実際に試合をするだけでなく、ゲームの戦略を立て、作戦を考えることが重要なスポーツです。
細分化されていることで病室にいても作戦を考え、それをプレイヤーに伝えることで試合に参加することができます。
小学校の学習指導要項にも正式採用されていて、全国の約1/4の小学校で行われています。
他のスポーツのように性別、体格、運動神経に関わらず、それぞれに役割があり、成功体験が得られるスポーツとして、その教育的価値が認められています。
多様性、論理思考、コミュニケーション能力を育むことができるスポーツです。
病棟内でオフェンスのフォーメーションを作っている様子
2019年第74回甲子園ボウルで、入院している子ども達が作ったオフェンスフォーメーションを
使ってプレイする奈良と京都の小学生チーム
2019年11月16日に天理大学体育学部のグラウンドで開催した「第1回ホスピタルボウル」の動画